アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ミュシャ。デザイン化された要素を用いた、装飾性あふれるミュシャの絵は現代でも人々を魅了しています。
本書は2017年~2018年にかけて各地で開催されていた「ミュシャ展~運命の女たち~」の図録です。幼少期から絶頂期だったパリ時代、晩年のスラヴ叙事詩に至るまでの作品が網羅されています。有名なカレンダーや連作装飾パネルだけでなく、素描や油彩画なども含めた150点に及ぶ作品が掲載され、ミュシャの魅力が詰め込まれた1冊。なかでも必見なのは、ベル・エポック時代のポスター絵ではないでしょうか。とくにサラ・ベルナールのために手がけた7点の劇場ポスターは、ミュシャのデザイン力の高さに目を奪われます。
後半の祖国チェコへの愛国心から生まれた「スラヴ叙事詩」は、制作に16年もの歳月を費やしたミュシャの集大成です。本書では制作中の写真やポスターが掲載されているので、アール・ヌーヴォー期の作品と見比べるのもおすすめ。
2019年はミュシャの没後80年でもあり、各地で美術展が開催されているので、この機会にぜひ足を運んでみてください。(蔵書番号:0003114)