生誕300年記念 若冲展
日本経済新聞社/刊 2016年/発行 327ページ

 連日、東京で3~4時間の行列を作っていた若冲展。あまりの人だかりに諦めた人も多くいたのではないでしょうか。伊藤若冲は江戸時代に京都で活躍した画家。本書は生誕300年を記念した若冲展の図録です。初期から晩年までの代表作約80点が収録され、巻末には詳細な作品解説も含まれた、読みごたえのある一冊です。
 圧巻なのは若冲の代表作である「釈迦三尊像」と「動植綵絵」。鳳凰、鳥、草花、魚介などが繊細な描写によって美しく色鮮やかに描かれていて、その緻密さや技法に思わず見入ってしまうほど。西洋画とは異なる日本画の美しさが感じられます。逆に墨一色で描かれた虎や鳳凰、少し間の抜けた顔にも見える鳥の絵や版画などもあり多彩。図録に掲載のインタビューによると、若冲の枡目画がコンピューターのピクセルアートに通ずるところがあるそうで、若冲の才能の豊かさがうかがえます。
 本書に掲載されている絵を見て、その解説を読み進めていくうちに、本物を見てみたいと思うのではないでしょうか。本書をきっかけに美術館へ足を運んでみると、新しい発見があるかもしれません。(蔵書番号:0003010)

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