マイセン
南川三治郎、大平雅巳/著
玉川大学出版部/刊 2009年/発行 127ページ

 ヨーロッパで初めて硬質磁器を生み出したドイツの名窯(めいよう)「マイセン」。そのマイセンが初めて硬質磁器を誕生させたのは300年前の1710年のこと。それまでのヨーロッパでは、純白で薄い硬質磁器はつくりだせず、東洋磁器の蒐集家であったドイツのザクセン選帝侯アウグスト2世が、錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーを監禁し、磁器製造を研究させていたほどです。
 本書では、マイセンの芸術的で美しい磁器が多数紹介され、その誕生と発展、戦乱による衰退や復興の歴史を辿ります。時代によって少しずつ変化していく磁器の写真は興味深く、一点一点人の手で絵付けされた磁器は繊細かつあざやかで、使わずに眺めていたいと思うほど。常に人々の関心に目を向け、新しいものを生み出すという過程は、フラワーデザイナーにも共通する部分があるのではないでしょうか。
 現代のマイセンは、1739年に完成された「ブルーオニオン」と呼ばれる模様や、可愛らしい動物たちが描かれた「森の平和」など、多数の陶磁器が販売されています。本書で歴史を辿りつつ、美しいマイセンの陶磁器を実際に目にしてみてはいかがでしょうか。

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