アール・ヌーヴォーという言葉は現代においても広く浸透しています。ただ、アール・ヌーヴォーと一口に言っても、それらは建築・彫刻・絵画・諸工芸・デザインなどのありとあらゆるジャンルに振り分けられています。一般的に持たれる分かりやすいイメージとしては、花、草、木のツタや枝、昆虫や動物など自然界で見える物がモチーフとなっていること。そして、優美な曲線が装飾に多く用いられている家具や工芸品、あるいは絵画なのではないでしょうか。
本書では、そんなアール・ヌーヴォーの起源からはじまり、イギリス、アメリカ、スペインなど各国におけるアール・ヌーヴォーが写真とともに説明されています。たとえば、工芸家であるエミール・ガレやルネ・ラリック。また、ポスター絵を描いたことで有名なミュシャやロートレック。ロートレックの絵は裏表紙にも使われています。ミュシャは日本でも数多くの美術展が開催されるほど人気が高く、目にしたことのある人も多いことでしょう。そして、建築家であるスペインのアントニオ・ガウディ。いまだ建設が続く有名なサグラダ・ファミリアのほかにも、カサ・ミラやグエル公園の怪獣など、彼が手がけたアール・ヌーヴォー建築はスペインの随所に見られます。
発行年は1976年と古いものですが、アール・ヌーヴォーとはなにかを知る貴重な一冊です。