日本では昔から、着物や工芸品などにさまざまな文様があしらわれてきました。
文様にはそれぞれ人々の幸せへの思いや願いが込められ、生活の中にデザインとして使用されてきました。
今回は ”おめでたいしるし”を意味する「吉祥文様」のひとつ
「七宝柄」の和紙を使って涼しげな夏のアレンジメントを制作します。
「七宝」は 円の斜め四方に円を重ねて輪をつないでいった文様で、見方によっては花びらのようにも星のようにも見えます。
描かれた 円(輪)は「和」に繋がり、それがどこまでも続くことから、円満や繁栄をあらわした縁起の良い文様です。
今回は、この「七宝柄」をガラスの器にあしらって ステイホームが続く夏を 少しでもこころ楽しく、涼を感じられるように制作しました。
<手順>
1 丸く切った厚紙に和紙を貼り、つなぎ合わせて カフスのように仕上げます。
2 吸水フォームの代わりに透明と水色の吸水ポリマーをガラスの器に入れ、カフスをセットします。
「和」の趣を楽しみながら 水引やオーナメントを作品の一部としてあしらいましょう。
3 それぞれの素材感を 目で楽しめることができるように、使用する花材は「小さな主張」のものをさりげなく取り入れました。
<花材>
フウセンカズラ、ナデシコ、ベゴニア、ジニア(百日草)、ハツユキカズラ、オタフクナンテン
使っているナンテンには「難を転じて福となす」という花言葉もあるそうです。
なんだか 縁起にこだわった作品になってしまいましたが…
日本では古来から 人々の願いをさまざまなものに託しながら 生活を楽しむ工夫をしてきました。
コロナ禍での現在、私たちの暮らし方は大きく変化しつつあります。
こんな時だからこそ、先人から受け継いだ考え方や美意識を生活の中にとりいれて
花に向き合うことは 生活に彩りを加え、心豊かな毎日に結びつくのでは…と感じています。
REPORTER
竹村 結花 TAKEMURA Yuika
NFD名誉本部講師 愛媛県支部
花ファッションデザインチーム