八月
蒸し暑い日本の夏を少しでも涼しく過ごす先人の知恵。
団扇、風鈴、スダレなど昔からさまざまなもので涼しく過ごす工夫がされていました。
茶室の床に生ける花 ”茶花” は四季折々の花を用い、立花などの生け花と基本的に異なり一定の法式をもたないことを特色とします。
花は野にあるように自然のままに投げ入れることとし、季節に応じて花を選びます。
夏は草花を多く入れ、夏の風情、季節感を大切にする日本ならではの文化です。
また、風鈴は、冷房のなかった時代に高温多湿な日本の夏をやり過ごすため、
音で清涼感を醸し出す夏の風物詩の一つです。
そんな昔ながらの習慣を、今の生活に手軽に取り入れてみましょう。
2019年テーマ:ネオノスタルジー~懐かしさからの創造~
昔懐かしい日本の夏からイメージした壁掛けのアレンジメントを作ってみます。
材料は シュガーコーティングされたようなネット、和紙、ワックス(ロウ)、貝で出来たオーナメント、ビーズ、ワイヤ、テグス です。
まず、花器を作ります。
春夏トレンドカラーの「甘い白」のイメージにぴったりなシュガーコーティングされたようなネット50cmの1/3の部分を折り曲げ、重なる左右をワイヤで留めます。
もう一方のネットの端は絞るようにしてワイヤでまとめます。
使用するワイヤは白の地巻きワイヤか、白のテーピングしたワイヤを使いましょう。
次に接着剤などで、折り曲げた部分に和紙を貼ります。
和紙を貼った部分にワックス(ロウソクを溶かしたもの)を塗って器に、仕上げます。
砂糖でアイシングしたような甘く涼しげな壁掛けの花器の出来上がりです。
壁に掛けられるようループにしたワイヤを花器の壁面に接する部分に取り付けます。
次に貝のガーランドを作ります。
貝でできた丸いオーナメントとビーズをテグスでつないだガーランドを作り、花器の左端にワイヤで取り付けます。
吸水フォームをセロファンなどで水どめしたもの、または、水を入れたナイロン袋を花器にセットし、夏の草花をアレンジします。
茶花とは違いますが、自然のままに投げ入れる感じで、涼しさの感じられるよう留意してアレンジします。
今回は春夏のトレンドカラー「甘い白」に合う草花、ホタルブクロ、ヒメジョオン、アジサイなどの花とヤマゴボウ、つる性の葉物、ナルコユリ、ヤブランの葉などを入れてみました。
斑入りの葉物や若草色の葉物と甘い白の花を合わせ、涼しくすっきりと仕上げました。
ガーランドが風で揺れるとカラカラと音がして、涼しげです。
夏の草花を愛で、風で揺れて奏でる音を聞きながら、涼しく過ごしましょう。
REPORTER
梅澤 美貴 Miki UMEZAWA
NFD名誉本部講師 大阪府支部
花ファッションデザインチーム