この植物は、オーストラリア原産で、ウコギ科といわれることもありますが、セリ科とされ、日本には大正時代に導入されました。和名は、「ソライロレースフラワー」ともいわれ、花の色が主に薄い青色(空色)であり、花がレース状に見えることにちなみます。
ふんわりとした半球形に丸く咲く花は、多くの小さな花が集まったものです。その趣きは、この植物の花言葉である「優雅なたしなみ」や「慎み深い人」にふさわしいものです。
「ブルーレースフラワー」という英語名は、花の色の「ブルー」と、花にレース状の模様があるように見えることに由来します。また、青色でレース状の模様がある「ブルーレース」という宝石があり、その名前にちなんでいるともいわれますが、定かではありません。
ブルーレースフラワーは、流通名では「ディディスカス」という名前が使われますが、これは古い学名に由来するものです。現在の学名は、「トラキメネ カエルレア(Trachymene caerulea)」で、「トラキメネ」は、トラキメネ属であることを示し、「果実がざらついている」ことを意味するといわれます。「カエルレア」は、ラテン語で「青い」を意味します。
本来は、昼が長くなり夜が短くなってくる初夏に、花が咲きます。しかし、この花は、花束やブーケ、フラワーアレンジメントに使われる代表的なもので、季節を問わずに、利用されています。それは、温室やビニールハウスなどの施設で、人工的に、昼が長く夜が短くなるように、夜に電灯照明で施設の中を明るくする「電照栽培」という方法が使われているためです。
ブルーレースフラワーには、よく混同される植物があります。それは、レースフラワーとよばれることもある、「ホワイトレースフラワー」です。この名前は、ブルーレースフラワーの白花を咲かせる品種のような印象があります。でも、この植物は、花の咲き方がブルーレースフラワーとは異なっており、原産地を地中海沿岸地方とする、まったく別の種類の植物です。学名は、「アンミ マユス(Ammi majus)」で、和名では、「ドクゼリモドキ」といわれます。(text:TANAKA Osamu)
花の形体や形態、キャラクターなどにより、作品のイメージに合った使い方をします。ブルーレースフラワーは、アレンジメントのみならず花束やブーケなどにもよく使用される花です。
花はレースのように背景が透けて見えることから、軽やかな印象を与え、また奥行き感も出しやすいです。
緩やかに蛇行する細い茎先に、ブルーの半円形の軽やかな花がついているので、フラワーデザイナー資格検定試験のテーマ「流れるようなブーケ」のように、ふわっと宙に浮かんで下に流れ落ちる爽やかなブーケをつくることもできます。
可愛らしいつぼみも、動きや軽やかさを引き出すことができるので使用してみましょう。 (text:NFD)