ネリネはヒガンバナ科ネリネ属の植物で、原産地は南アフリカです。日本には、大正時代の初期に渡来したといわれます。この植物は、赤やピンク、純白などのきれいな花を咲かせるのですが、有毒な物質を持つことが知られるヒガンバナ(彼岸花)と、姿や花の形がよく似ているため、栽培は敬遠されました。花びらに光沢があり 明るい光を浴びてキラキラ輝く様子は宝石のように見えることから「ダイヤモンド・リリー」と呼ばれて、人気を高めてきたのは近年になってからです。花持ちがよいことから、切り花として使われ、鉢植えの栽培も行われるようになってきました。栽培の場合には、球根栽培で行われます。多くの園芸品種が、主に、学名が「ネリネ サルニエンシス(Nerine sarniensis)」といわれる植物をもとに、ヨーロッパやアメリカで生み出されています。生まれた品種は、「ネリネ」という属名で呼ばれ、英語名でもネリネ(Nerine)です。

この植物の学名を調べると、「Nerine sp.」、あるいは、「Nerine spp.」と書かれています。「Nerine」は、ネリネ属を示し、ギリシャ神話で「ネーレーイス」や「ネレイス」(英語名 Nereid)とよばれる、美しい水の妖精の名前に由来します。「sp.」は、種(species)の省略語で、「spp.」は、その複数形です。「ネリネ」とよばれる植物には、多くの品種が生まれており、それぞれの品種が、学名のつくほどに確立されていません。そのため、「Nerine sp.」は、「ネリネ属の一種の植物」を表し、「Nerine spp.」は、「複数の種があるネリネ属の植物」という意味になります。「sp.」や「spp.」は、ラテン語化されていないので、イタリック体では書かれません。

ネリネによく似た植物が、リコリスです。これは、中国を主な原産地とするヒガンバナのことで、「リコリス」はヒガンバナ属を意味します。身近にある、赤色の花を咲かせる「リコリス ラディアータ(Lycoris radiata)」や、ショウキズイセンともよばれ、黄色い花を咲かせる「リコリス オーレア(Lycoris aurea)」がよく知られています。ネリネが、明るく日当たりの良い、暖かな土地を好むのに対し、リコリスは、日陰にも強く、耐寒性も備えています。(text:TANAKA Osamu)

ネリネ
リコリス オーレア

フラワーデザイナー資格検定試験では

花の形体や形態、キャラクターなどにより、作品のイメージに合った使い方をします。
ネリネの茎は、つるっとした感触で、そのすっと上向きに伸びた茎先に複数の花がつきます。くるっとそり返った花びらが特徴の可愛らしい花です。

フラワーデザイナー資格検定試験では、その茎のラインを生かして2級テーマの「交差」などで使用します。
茎はしっかりとしているのでとても挿しやすいですが、花は折れやすいので気をつけて取り扱います。

なお、この写真では角の丸い花器を使用していますが、フラワーデザイナー資格検定試験では、長方形花器の使用を推奨しています。(text:NFD)

2級テーマ 「交差」

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