原安三郎コレクション 広重ビビッド
TBSテレビ/刊 2016年/発行  495ページ

 浮世絵は江戸時代に盛んに描かれた風俗画で、葛飾北斎や歌川広重、東洲斎写楽、歌川国芳などが描いた絵が現代も多くの人に親しまれ、展覧会も頻繁に開催されています。本書は、2016年~2017年にかけて6か所で開催された展覧会「原安三郎コレクション 広重ビビッド」の図録。歌川広重が57歳から62歳の6年間に描かれた「六十余州名所図会」と「名所江戸百景」を中心に掲載されています。この「名所江戸百景」は海外の画家にも大きな影響を与え、表紙の「亀戸梅屋舗」や「大はしあたけの夕立」はゴッホが模写したほど。油彩画とは違う浮世絵の構図のダイナミックさや独特な描写が、海外の画家にとって新鮮で、魅力的に映ったと言われています。
 本書は400ページ以上にわたって展示された作品が掲載され、当時の風景を知ることができる貴重な内容です。中には初摺と後摺を比較して掲載されているものもあり、解説でその違いが細かく説明され、読みごたえも十分。広重以外にも、葛飾北斎や歌川国芳の絵もあり、それぞれの違いも楽しめます。
 いまではもう見らなくなってしまった風景も多くありますが、図録を手に描かれた場所まで足を運んでみてはいかがでしょうか。(蔵書番号:0003008)

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