マーガレットという名前は、キク科のモクシュンギク(アルギランセマム Argyranthemum)属の植物の総称として使われることがあります。しかし、ふつうには、マーガレットは、明治時代に日本に伝えられた、アフリカ大陸のスペイン領カナリア諸島を原産地とする植物を指します。

この植物の和名は、モクシュンギク(木春菊)であり、茎の下部が木(モク)質化し、葉っぱの形がシュンギク(春菊)に似ていることにちなみます。学名は、「クリサンセマム フルテッセンス(Chrysanthemum frutescens)」で、「クリサンセマム」は、キク属であることを示します(モクシュンギク属とされる場合には、「アルギランセマム」とされます)。「フルテッセンス」は、「低木性の」を意味しています。

夏に、白色の頭状花を咲かせます。この頭状花は、花びらに見える舌状花と、花の中央の黄色の筒状花(管状花)からなっています。舌状花は、白色が普通ですが、ピンクのものもあり、八重咲きのものもあります。

マーガレットは、「信頼」や「誠実な愛」などと共に「恋占い」という花言葉を持ちます。これは、頭状花の花びらを1枚ずつちぎり、「好き、嫌い、好き、嫌い、…」という占いに利用されるからです。ただ、「この花びらの枚数は奇数であるため、『好き』で始めれば、占いは『好き』で終われる」といわれます。「花びらの枚数が奇数であること」の真偽は定かではありませんので、確かめてみてください。また、この花は枯れても、花びらが落ちることがないので、「落ちない」を願う受験生には、縁起物とされることもあります。

マーガレットは、ギリシャ語で真珠を意味する「マルガリーテス」に由来しており、英語名の「マルグリート」はこれにちなみます。この花は、デンマークの国花に選ばれており、デンマークでは「マルグレーテ」と呼ばれます。

多くの植物には「頂芽優勢」という性質があります。これは、茎の先端にある芽(頂芽)が勢い良く伸びて、頂芽の下部にある芽(側芽、あるいは、腋芽)は伸びだしてこないという性質です。マーガレットは、この性質が強く、茎は、ほとんど枝分かれせずに真っすぐに伸びます。そこで、その茎を切ると、枝分かれして、枝の数が増え、花の個数も増えます。

この植物では、花は多く咲きますが、タネはほとんどできません。そのため、挿し木で増やされます。近年、よく似た植物で、タネをつくるものが見受けられますが、それらはこの植物をもとに園芸用に開発された品種です。(text:TANAKA Osamu)

フラワーデザイナー資格検定試験では

花の形体や形態、キャラクターなどにより、作品のイメージに合った使い方をします。マーガレットは、つつましやかで、自然らしさが愛らしい花です。
純白の花弁に中央部分が黄色いものが一般的ですが、花弁がピンク色のものや八重咲のものもあり、フラワーデザイナー資格検定試験では小輪のマーガレットがよく使用されます。
深く切れ込みの入った葉も繊細で美しく、葉をつけた状態で茎のラインを見せるような作品にも使われますが、花束に使用されることが多く、作品にかわいらしさや優しい雰囲気をつくり出します。
フラワーデザイナー資格検定試験のテーマでは、「ほぐれた装飾的花束」や「相互に入りまじって」などの作品で使用されています。 (text:NFD)

1級テーマ「ほぐれた装飾的花束」

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