イタリア中部にある、トスカーナの州都フィレンツェ。有名なボッティチェッリの絵画を所蔵しているウフィツィ美術館や、ミケランジェロのダビデ像のあるアカデミア美術館もこの場所にあります。市街中心部はフィレンツェ歴史地区としてユネスコの世界遺産に登録され、世界中から観光客が集まる場所のひとつです。
本書では、主にフィレンツェが金融業と織物産業を中心にして大都市として台頭した14世紀から、近代の画家たちが活動した20世紀初頭までのおよそ600年を、この都市の形成に大きくかかわったメディチ家の興亡とともに辿ります。約40ページほどにわたる序章では、その600年間のフィレンツェの美術と歴史が詰め込まれ、時代ごとにすばらしい巨匠たちが存在していたことが分かります。多数の執筆陣による解説は読みやすく、とても面白い内容となっていて一読の価値あり。解説だけではなく、大きなカラー写真で掲載された壮麗な建築物や絵画は、本物さながらの迫力です。500ページを超えるこの図書は分厚いので、ゆっくり読み進めるのがおすすめ。まさにフィレンツェの町を散策しているような気分になる一冊です。