ウィリアム・モリスは詩人としてよりも、テキスタイルデザインを手がけた工芸家、あるいは社会活動家の一面がより知られています。モリスは人の手が加えられていない、自然のままの植物や花を愛し、不自然に加工された花や植物を嫌いました。
本書ではモリスと庭園を結びつけ、庭園の観点とモリスの生涯を軸としています。ときおり交えられたモリス自身の言葉は、植物や花、そして鳥など自然に関することがほとんどで、あるがままの自然を美しいと捉えていた様子が見て取れます。
本書後半にある「ウィリアム・モリスの植物」では、モリスが庭に植え、作品化したイギリスの自生植物について知ることができます。素朴で可愛らしい花々と、それらをモチーフにしたテキスタイルデザインが多く掲載されています。モリス自身を知らなくても、数多くあるテキスタイルデザインを見たことがある人も多いことでしょう。また、本書に登場するデザイナー、ガートルード・ジーキル(本書ではジェキルと表記)の著書もNFDライブラリーで所蔵しています。