センニチコウ(千日紅)
この植物は、アカザ科とされることもありますが、近年では、アカザ科をヒユ科に含めることもあるので、ヒユ科とされます。原産地は、熱帯アメリカや熱帯アジアとされます。学名は「ゴンフレナ グロボサ(Gomphrena globosa)」であり、「ゴンフレナ」は、センニチコウ属であることを示し、「グロボサ」は、「球形」を意味し、花の形にちなみます。
英語名は、「グローブ・アマランス(globe amaranth)」で「グローブ」は球形を意味し、アマランスは、ケイトウの一種、ヒモゲイトウなどを指す語で、「丸い形の花を咲かせるケイトウ」という意味になります。
日本には、江戸時代に渡来しました。花が長い期間にわたって咲き、個々の花はあざやかな花色を長く保ち続けます。そのために、「ヒャクジツコウ(百日紅)」と書かれる「サルスベリ」に対し、「センニチコウ(千日紅)」とよばれました。その他にも「永久花」、「不死花」、「千日坊主」、「手毬花」、「千日草」、「団子花」、「団子草」などの呼び名があります。
球状の花は、多くの小さな花の集まりですが、その花びらに見えているのは、花びらではなく、「苞(ほう)」とよばれるものです。ほんとうの花は、苞の間にある1ミリほどの小さなもので、5本の短いオシベが伸びています。オシベが萎れたあとに、メシベが出てきます。これは、自分の花粉が自分のメシベに付着して子孫であるタネができる自家受精を避ける一つの方法で、「オシベ先熟」という性質です。
この植物では、花が咲くのが、夏から秋までと灼熱の炎天の時期です。このように暑さに強いのは、この植物の原産地が、高い温度と強い光、乾燥する地域だからです。この植物のように、高温、強光、乾燥に強いしくみをもつ植物は、「C4植物」とよばれます。この名前は、光合成のために吸収された二酸化炭素から最初にできる物質の炭素の数が4個であることに由来します。なお、地球上に存在する90%以上の植物では、二酸化炭素から最初にできる物質の炭素の数は3個であるため、「C3植物」とよばれます。(text:TANAKA Osamu)
花の形体や形態、キャラクターなどにより、作品のイメージに合った使い方をします。
センニチコウは、細くすっと伸びた茎先に丸いコロンとした花がついている可愛らしい植物です。紫やピンク、白など色味も多く、また暑さに強く長い時間咲き続けることから、フラワーデザインでよく使用されます。フラワーデザインでは、メインの花を引き立てつつ、花と花の空間を軽やかに埋めて全体の調和をとる大切な役目をします。資格検定試験では、わずかな主張の花として、級やテーマを問わず花束やブ ーケ、アレンジメントで幅広く使われます。 (text:NFD)