トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美
国立新美術館/編 日本経済出版社/刊
2019年/発行 423ページ

 チューリップと言えばオランダが有名ですが、実はトルコが原産地。20世紀初頭まで栄華を極めたオスマン帝国の中でも、特にチューリップの栽培や品種改良に力を入れていた時代がありました。
 本書は、チューリップを愛でた宮殿の生活や、オスマン帝国の分化、豪華絢爛な宝飾品や工芸品が約170点も収録された展覧会の図録です。エメラルドの柄で作られた短剣、色鮮やかな花を象った装飾品など、オスマン帝国がいかに圧倒的な力を持っていたのかが、わかるものばかり。その中でも、とりわけチューリップや三日月が多く使われています。表紙に書かれた「ラーレ」はトルコ語でチューリップを指します。なぜチューリップと三日月がオスマン帝国の象徴となったのか、本書に盛り込まれた解説から、ぜひ読み解いてみてください。チューリップの話は、今回紹介した『花の図譜ワンダーランド』にも紹介されているので、あわせて読むのもおすすめです。(蔵書番号:0003129)

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